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中国の高速鉄道網がEV普及を後押しか。接続でシェア1.22ポイント増
ペンシルベニア大学と香港中文大学の研究チームが、中国のEV普及を高速鉄道網の発達と結び付ける分析結果を発表した。2010年1月〜2023年12月の328行政区画の月別販売データを使い、高速鉄道網の整備前後を比較したところ、接続はその都市のEV市場シェアが1.22ポイント増えることと関連していた。接続後は購入されるEVの最大航続距離が短くなり、平均取引価格も約6.37%下がった。長距離移動の代替手段ができたことで、航続距離への不安が薄れた証拠だと研究チームは解釈している。
中国では2024年の新車販売台数に占めるEVの割合が約45%に達し、ヨーロッパの約25%、アメリカの約11%を大きく上回る。この差を政府の補助金や産業政策に帰す見方があるが、同様の補助金制度は多くの国が導入しており、中国のような成果は出ていない。ペンシルベニア大学と香港中文大学の研究チームは、別の要因として高速鉄道網に着目した。
中国では2008年以来、世界最大規模かつ最速の高速鉄道網が構築され、2023年までに総延長は4万5000km以上、人口50万人以上の都市の96%が高速鉄道で結ばれている。研究チームの仮説は、高速鉄道とEVが互いに補完し合っているのではないか、というものだ。EV購入をためらわせる要因の一つに、長距離ドライブ中の電池切れへの懸念がある。中・長距離の移動を手頃な高速鉄道に任せられるなら、「短距離はEV、長距離は鉄道」という使い分けでこの懸念は解消できる。
検証には、中国の328行政区画にまたがる新車・中古車の月別販売台数データを2010年1月から2023年12月まで収集した。高速鉄道網は段階的に広がったため、自然実験に近い比較ができる。分析の結果、高速鉄道網への接続は、その都市のEV市場シェアが1.22ポイント増えることと関連していた。分析期間中のEV市場シェアの平均増加率が約4%だったことを踏まえると、小さくない効果だ。効果は時間とともに拡大し、接続後の最初の数年で約1パーセントポイント、その後さらに数パーセントポイント増える。接続前の時点では、後に接続される都市とそうでない都市でEV市場シェアの推移は同様であり、「EV導入に適した都市が先に接続されやすい」という逆の因果ではないことも確認された。
仮説を裏付けるもう一段の検証もある。長距離移動の不安が解消されたことが理由なら、消費者は航続距離の短い、つまり安いEVへ移るはずだ。実際、都市が高速鉄道網に接続されると購入されたEVの最大航続距離は減少し、平均取引価格も約6.37%下がった。研究チームはこれを、高速鉄道が信頼できる長距離移動の代替手段となり、消費者が航続距離を気にしなくなった証拠と解釈している。ただし高速鉄道単独の効果ではない。接続した都市はEVの充電ネットワークを拡大する傾向があり、充電網と高速鉄道の両方がEV普及と強く関連していた。接続する高速鉄道が時速300kmを超えるとEV普及との関連はより強くなり、裕福な中国東部および中部で普及が顕著だったことも報告されている。
この結果が示すのは、EV政策を補助金と充電インフラだけで設計する発想の限界だ。心理学系メディアのPsyPostは、手頃な価格で広く使える公共交通機関がEVへの移行の隠れた障壁を下げ、クリーンな車を一部の富裕層のぜいたく品ではなく、より幅広い購入者にとって現実的な選択肢にしうると指摘した。
出典 — GIGAZINE
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