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京都大、超伝導「SCSCケーブル」の巻き線技術を開発。交流損失を1/10に
京都大学の雨宮尚之教授らが、高温超伝導集合導体「SCSCケーブル」を多層化・長尺化する技術と、これをコイルにする巻き線技術を開発した。24本の超伝導線を8層に巻き付けたケーブルや長さ45mのケーブルを試作し、試作コイルの交流損失は従来の予測値の約10分の1に下がった。超伝導モーターや核融合発電への応用を見込むほか、45mの長さがあれば航空機の電気推進用モーターにも使えるとみている。試作コイルでは理論予測とほぼ同じ電流も流せた。
京都大学大学院工学研究科の雨宮尚之教授らは9月、高温超伝導集合導体「SCSCケーブル」と、これをコイルにするための巻き線技術を開発したと発表した。超伝導モーターや、フュージョンエネルギー(核融合)発電への応用を見込む。
高温超伝導線は電気抵抗がゼロで、非常に高い電流密度で電流を流せる。モーターの小型・軽量化や省エネにつながり、核融合発電では強い磁場を生む超伝導コイルへの応用が期待されている。ただ従来の線材には、交流を流したときに損失が生じる点や、コイルに巻くための柔軟性が足りない点といった課題があった。
雨宮教授らはこれまでに、交流損失の原因となる渦電流(結合電流)を抑えたSCSCケーブルを開発してきた。テープ状の超伝導線の中にある超伝導薄膜を細いフィラメントに分割して損失を減らし、フィラメント同士は銅めっき層で電気的につなぐ。こうした線材を直径3mm以下の金属コアにらせん状に巻き付けることで、柔軟性の問題も解決してきた。
実用化には、コアに多くの線材を巻き付ける「多層化」と、長いケーブルを作る「長尺化」が必要だった。今回は24本の線材を8層にわたって巻き付けたケーブルを試作した。理論上は数キロアンペアの電流を流せ、線材の種類を変えれば核融合発電のコイルにも使える水準だという。長尺化ではケーブル製造装置を改良し、長さ45mのケーブルを作った。この長さがあれば、航空機の電気推進用モーターなどに使えるとみている。
コイル化の実験では、半径30mmの巻き芯にケーブルを5層・33巻きした円形コイルと、半径25mmで3巻きした立体的な鞍型コイルを作り、理論予測とほぼ同じ電流を流すことに成功した。さらに、4mm幅の超伝導線でできたケーブルを巻いた円形コイルの交流損失の予測値と比べ、試作コイルの実測値は約10分の1だった。
線材を「作る」段階から、機器に組み込める「巻く」段階へ研究が進んだことで、実機への応用に一歩近づいた成果といえる。
出典 — EE Times Japan
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