セキュリティ / Ars Technica /2 分

米政府サイトがFBIが「悪意」と呼ぶ中国製Qwenを一時採用、撤去

米連邦官報(Federal Register)サイトが、公開コメントの検索にAlibabaのQwenモデルを一時的に採用していたことが判明し、水曜に撤去された。FBIは今月、Alibabaを含む中国6社を「産業規模の蒸留」を行っていると名指ししたばかりで、矛盾が指摘された。ただ専門家は、使われたのはQwen3 0.6Bクラスの小型オープンモデルで文書検索専用のため、実質的なリスクは低いとみている。

米連邦官報(Federal Register)のサイトに一時的に導入されていた中国製のAI検索ツールが、水曜に撤去された、とArs Technicaが報じた。同サイトを運営する国立公文書館(National Archives)が、規制案への公開コメントを検索する手段としてAlibabaのQwenモデルを提供していたことがSNSで指摘され、矛盾が表面化した。

というのも、今月初めにFBIがAlibabaを含む中国の主要6社を名指しし、米国のフロンティアモデルを「産業規模の蒸留(industrial-scale distillation)」で不正に模倣していると主張したばかりだったからだ。米政府機関が一方でその企業のモデルを使うのは「正気とは思えない」乖離だ、との批判も上がった。導入がいつ始まったかは不明だが、archiveされたソースコードから、少なくとも1日は利用可能だったことが確認されている。

もっとも、実際のリスクは低いとの見方が強い。専門家によれば、使われたのは「Qwen3 0.6Bレベル」の小型オープンウェイトモデルで、文書の検索に特化しており、複雑な推論を行わず、政府データをAlibabaや第三者に送信することもない。ジョージタウン大のAnupam Chander教授は、サイトのコンテンツは「すでに公開されている」ため機密情報を扱っていないと指摘する。むしろ、モデルをローカルにダウンロードして動かせるため、外部の大規模モデルに問い合わせるよりデータの管理性が高い、という利点も挙げられている。

背景には、米国のAI安全規制や対中戦略をめぐる議論がある。米国の輸出規制は先端半導体を制限してフロンティアモデルの訓練を狙い撃つ設計だが、小型・特化・オープンなモデルの展開サイクルには対応していない。産業用途で効くモデルが小型でオープンなものだとすれば、現行の政策は競争の間違った層を狙っている可能性がある、との指摘もある。下院・中国委員会のMoolenaar委員長は「いかなる連邦政府機関も中国製AIモデルを使うべきではない」と強硬な立場を示している。

出典 — Ars Technica

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