クラウド / CNET Japan /2 分
AWS、中東2リージョンで顧客データ復旧不能に。バーレーンは全域
Amazon Web Services(AWS)は米国時間9月15日、3月以降の中東での攻撃で損傷した施設について、 一部の顧客データを復旧できないと明らかにした。対象はバーレーンリージョン(me-south-1)の全域と、 UAEリージョン(me-central-1)の3つのAZのうち「mec1-az2」。そこにしか置かれていなかったリソースと データにはアクセスできなくなる。AWSは損害がマルチAZ設計で耐えられる範囲を超えていたと説明しており、 単一リージョン内の冗長化の限界が実際の障害として表面化した。
AWSは米国時間9月15日、中東の2つのリージョンで復旧できない顧客データがあると公表した。バーレーンリージョン(me-south-1)はリージョン全域、アラブ首長国連邦(UAE)リージョン(me-central-1)は3つあるアベイラビリティゾーン(AZ)のうち1つが対象で、そこにだけ置かれていたリソースとデータについてはアクセスを戻せないとしている。
発端は3月1日。UAEリージョンの1ゾーンで「データセンターに物体が衝突し、火花と火災が発生した」と説明され、消防当局の判断で電源が落とされた。翌日には中東の紛争に伴うドローン攻撃だったことが明らかにされ、UAEでは2施設が直撃を受け、バーレーンでも施設のすぐ近くが攻撃されたという。建物の構造的な損傷や電源の途絶に加え、消火活動による水損も一部で生じた。
バーレーンでは3月に1つ目のAZが損傷し、4月には2つ目のAZも止まってリージョン全体が使えなくなった。4月の停止についてAWSは「中東の紛争による損傷」と述べるにとどめている。同リージョンについては「復旧のあらゆる選択肢を尽くした」うえで復旧不能と判断し、次の情報更新は2027年初頭になるという。UAEで復旧不能となったのは最初に被害が出た「mec1-az2」のみで、残る「mec1-az1」「mec1-az3」のゾーン内リソースとリージョン単位のリソースは復旧作業が続いている。設備の交換を進めており、サービス復旧の見通しは今後数カ月のうちに示すとしている。
AWSは3月以降、他リージョンへの移行やバックアップからの復元を顧客に呼びかけてきた。大半の顧客は移行を済ませており、残る顧客はAWSサポートが支援する。両リージョンの課金は4月30日の案内以降、停止が続いている。
技術的に重要なのは、AWS自身が今回の損害を「リージョナルサービスやマルチAZサービスが耐えられるよう設計された範囲を超えていた」と認めた点だ。マルチAZ構成は本来、単一AZの障害を想定した仕組みであり、同じリージョン内の複数AZが同時に物理的な被害を受ける事態までは守り切れない。今回はそれが理論上のリスクではなく、実際のデータ喪失として起きた。
利用企業にとっては、可用性の設計を「AZをまたげば十分」で止めず、重要なデータについてはリージョンをまたいだバックアップやレプリケーションまで含めて考える必要があることを示す事例になった。地政学リスクがクラウドの物理層に直接及んだ例としても、クラウド事業者の立地選定やリスク評価に影響を与えるとみられる。
出典 — CNET Japan
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